「劇の交差点」
演劇は、それ自体もっとも古くからあるメディアの一つであるのと同時に、常にそれぞれの時代の他のメディアや芸術同士を出会わせる「場所そのもの」でもあり続けてきました。
およそ600年前に世阿弥がその時代の様々な「演劇」の、謂わば「いいとこ取り」をして能として大成させたように、多様化したメディアや学問領域たちをふたたび演劇という交差点で出会わせることで、演劇はまた、私たちの知らない、まだ見ぬポテンシャルを露わにするかもしれません。
劇団あはひのクリエーションメンバー各々の関心で持ち寄ったいくつかのワークショップとトークの企画が、参加者の皆さんにとっても予期せぬ出会いや発見を生み出す交差点になることを期待して、この企画を開催します。
-大塚健太郎(劇団あはひ主宰/劇作家・演出家)
【対象】エンタメやアートに興味のある10代〜20代くらいの方(経験不問)
【参加費】無料
【定員】ワークショップ:各回15名程度、トーク:各回30名程度
※すべてのワークショップ・トークイベントは独立した内容です。全日程参加も各回のみ参加も可能です。
【ご予約】https://awai-acproject.peatix.com
広島開催
【日時】
2024年1月22日(月)18:30〜20:30 「からだで考えるために」講師:松尾敢太郎
【会場】
JMSアステールプラザ・リハーサル室(〒730-0812 広島県広島市中区加古町4-17)
「からだで考えるために」講師:松尾敢太郎(劇団あはひ・俳優)
外に出てみたり声を出したりしながら五感に集中した(感じたものを入力していく)実験にいくつか取り組んでみたいです。台本と睨めっこしてじっと考え込むことが多くなりがちですが、いま置かれている環境からの刺激をたくさん取り込むことができる俳優を参加者の皆さんと目指したいと思っています!
松尾敢太郎
1998年、広島県生。早稲田大学文学部演劇映像コース卒業。
近年の団体外での出演作に、NHK FMシアター『ふたつのせかい』(作:山田由梨)、Netflixシリーズ『First Love 初恋』など。宮島醤油ショートムービー『美味しいは、変わらない記憶だ。』(2023)主演。2023年公開映画『鯨の骨』(監督:大江崇允)出演。
東京開催
【日時】
2024年
1月24日(水)18:30〜21:00 WS①「メディアでする演劇」須藤崇規(映像ディレクター)
1月25日(木)19:00〜21:00 トーク①「哲学を演劇する」司会:小名洋脩(劇団あはひ・ドラマトゥルク)/ゲスト:渡名喜庸哲(立教大学文学部教授)
1月26日(金)18:30〜21:00 WS②「規則から作る/規則を考える」川村隆太郎(音楽家)
1月27日(土)14:00〜16:00 トーク②「劇団の集団戦略」司会:高本彩恵(劇団あはひ・制作)ゲスト:坂本もも(合同会社範宙遊泳代表・範宙遊泳プロデューサー・ロロ制作)
1月27日(土)17:00〜19:30 WS③「「写す」から「表す」へ」 大塚健太郎(劇団あはひ主宰/劇作家・演出家)
【会場】
早稲田小劇場どらま館(〒169-0071東京都新宿区戸塚町1-101-3)
【企画詳細】
◆ワークショップ
① 1月24日(水)18:30〜21:00「メディアでする演劇」 須藤崇規(映像ディレクター)
舞台芸術はいままで色々なメディアや他ジャンルの表現方法を舞台上に取り入れてきました。影絵、人形劇、マイクの使用、生中継、録音、録画、一人二役、二人一役、プロジェクションマッピング、AI……
伝え方の違いはメッセージの違いにも繋がります。演劇の中でメディアを使う新しい方法をグループワークで発明し、どのように創作に繋げられるか考えます。
須藤崇規
東京芸術大学音楽学部音楽環境創造科卒。東京藝術大学大学院音楽研究科芸術環境創造専攻修了。
舞台芸術・美術に関わる映像全般を手がける。体験型・回遊型・ツアー型など特殊な環境での作品や、劇場以外の空間で上演される作品を得意とする。演出意図を丁寧に汲み取り、映像を通して作品の幅を広げ、観客に新しい鑑賞体験を提供している。
劇団あはひでは『Letters』『光環(コロナ)』『光環ONLINE』での映像ほか、記録映像のディレクションを担当。
② 1月26日(金)18:30〜21:00「規則から作る/規則を考える」 川村隆太郎(音楽家)
「規則やルールに基づいた芸術作品や実践について考えたり、実際にそうした実験を行うことで、一方ではますますゲーム的に、他方ではますますカオスになりつつある現代におけるその意義を考えます。劇作や演技のヒントになればと思います。」
川村隆太郎
2000年生まれ。早稲田大学文化構想学部卒。別名Studio Marusan.。
中学の頃に作曲や楽器演奏、バンドなどを始める。大学では人文学を学び、その経験も活かしつつ現在は、「音と音楽の間」をテーマに音楽やサウンド・アートに取り組んでいる。
劇団あはひでは『Letters』『光環(コロナ)』にて楽曲制作、『SONNET Jazz ver.』生演奏(ピアノ)など。
③ 1月27日(土)17:00〜19:30 「「写す」から「表す」へ」 大塚健太郎(劇団あはひ主宰/劇作家・演出家)
演劇において「リアル」な表現とはどのようなものでしょうか。現実をカメラで写しとったかのような写実的な会話や身振りのことを「リアル」と呼ぶこともあるでしょう。しかしまた異なる「リアル」を立ち上げる方法として「なにかをデフォルメすること」があります。大袈裟にする、或いは大幅に省くことによってこそ生まれる「リアル」な表現の方法を探るいくつかのゲームを行います。
大塚健太郎
1998年、神奈川県生。早稲田大学文学部文学科演劇映像コース卒業。
『ソネット』でかながわ短編戯曲賞最終候補。
古今東西の文学作品を題材に、それらを解体し、再構築する作劇手法は、「きわめて現代的な、ヒップホップ的感性による方法」として注目されている。2022年度よりセゾン文化財団セゾン・フェロー。2023年刊行の『吉田健一に就て』(川本直ほか編、国書刊行会)に『ソネット』が収録。
◆トークイベント
①1月25日(木)19:00〜21:00「哲学を演劇する」
「時間は孤立した独りの主体の産物ではなく、主体と他者との関係そのものである」(E.レヴィナス)。
現代は孤独ではなく関係という事実を露呈させています。演劇がいつも他者との関わりなら、私たちは今、いや昔から、実は演劇を生きているのではないでしょうか。立教大学文学部教授渡名喜庸哲氏を招き、「時間」や「演劇」について再考します。そんな営みも、「演劇」のおかげかもしれません。
ゲスト:渡名喜庸哲
1980年、福島県生まれ。パリ第7大学修了。現在、立教大学文学部教授。専門は、フランス哲学・社会思想史。著書に『現代フランス哲学』(筑摩書房)、『レヴィナスの企て』(勁草書房)、『カタストロフからの哲学』(共編著、以文社)、訳書にエマニュエル・レヴィナス『レヴィナス著作集』1~3巻(共訳:法政大学出版局)、ほか
司会・キュレーション:小名洋脩(劇団あはひ・ドラマトゥルク)
1998年生まれ。早稲田大学文学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科哲学コース修士課程在学中。
エマニュエル・レヴィナスを研究。劇団では、ドラマトゥルクとして一連の創作過程に携わる。
②1月27日(土)14:00〜16:00「劇団の集団戦略」
作家・俳優・演出家など、さまざまな作り手が集まる「劇団」という集団について、範宙遊泳・ロロという二つの劇団の制作を務める坂本もも氏を招き、そのあり方や戦略、創作と制作の関係、集団だからこそ抱える課題などについて考えます。
劇団制作者という創作の内側でもあり外側でもあるような視点から、創作・表現の場としての劇団の可能性を改めて考える機会になればと思います。
ゲスト:坂本もも(合同会社範宙遊泳代表・範宙遊泳プロデューサー・ロロ制作)
1988年東京都生まれ。学生劇団から商業演劇まで幅広く制作関連の仕事を経験。2009年ロロ、2011年範宙遊泳に加入し、制作を務める。
2017年に出産し育児と演劇の両立を模索中。
舞台芸術制作者オープンネットワーク(ON-PAM)理事。一般社団法人緊急事態舞台芸術ネットワーク(JPASN)理事。多摩美術大学 演劇舞踊デザイン学科非常勤講師。
司会・キュレーション:高本彩恵(劇団あはひ・制作)
1998年生。早稲田大学文化構想学部卒業。早稲田大学大学院文学研究科演劇映像学コース修士課程在学中。劇団あはひにて運営/公演制作を担当するほか、大学院では文化政策・アートマネジメント分野を研究中。
アーツカウンシル東京アートマネジメント人材等海外派遣プログラム第一期生(2023)。
企画制作:劇団あはひ
主催:株式会社かるみ
助成:文化庁文化芸術振興費補助金(統括団体による文化芸術需要回復・地域活性化事業 (アートキャラバン2)|独立行政法人日本芸術文化振興会
協力:早稲田小劇場どらま館
お問い合わせ:劇団あはひ info@gekidanawai.com